風の谷の活動Our Story

「風の谷」をキーワードにした未来創造プロジェクト

このプロジェクトは「都市集中型の未来に対するオルタナティブ」をテクノロジーを賢く使い倒すことで作り上げていこうという運動論です。

今日の世界は、あらゆる地域で都市集中の流れが止まらなくなっています。そしてその結果として、長い間人が住んできた場所の多くが棄てられつつあります。

このままでは、そう遠くない未来に映画『ブレードランナー』が描いたように極端に人口の集中したメガシティにしか人が暮らせなくなるーーそんなある種のディストピア的な世界の到来が避けられないのではないか。そんな問題意識がこの運動の原点にあります。

疎空間がエコノミクス的にも求心力的にも成り立たないシステム的な課題を探り、様々な知恵を用いてオルタナティブを提示する。そうすることで、人間と自然と共に豊かに生きうる世界を実現できるのではないか。

その一つのビジョンを、私たちは宮崎駿氏の『風の谷のナウシカ』に登場する舞台にインスパイアされ「風の谷」と呼んでいます。ただ決して都会を「腐海」としてみなしているわけでも、ナウシカと完全に同じような世界を作りたいわけでもありません。

私たちが目指しているのは、都市しかない未来に対するオルタナティブづくりとして、圧倒的な空間価値を持ち、都市にも負けない魅力と知的な生産性を持つ、そういう空間を生み出すことです。これはいわゆる村おこしでもなければ、リゾート開発でもありません。

土地や空間の潜在的に持つ力に合わせて、さまざまな知恵とテクノロジーを使い倒すことで、もう一つの未来の可能性を私たちは作りたい。またこういう空間を持つことができれば、周囲にある都市の価値も大いに上がるものと考えています。

この空間づくりが安定した段階に到達するには、何世代もの時間がきっとかかるでしょう。だからこそ運動論としてすすめることが大切だと私たちは考えます。

私たちは都市という人類の知恵の結晶を決して否定しません。しかし、都市だけが人間の生活の中心をなす未来はとても残念な未来なのではないか、と考えています。人間が都市に集中し、その結果として残された膨大な土地の多くはこのままでは豊かな森に還るのではなく、荒れ地になってしまいます。これは私たちが残したい未来なのでしょうか。もちろん、違います。

ならば、自分たちでオルタナティブを作ってみよう。これが私たちの基本的な考え方です。